帰省録0804【1-2】:庭に、謎の異邦人。
●あれを「庭」と表現したものかどうかは迷うところで、ただ詳しく説明を始めるととても面倒くさいことになるので、ここでは一応「庭」ってことで。
●いつも、帰省してまず真っ先に母に連れ出されるのが、庭。毎日の手入れの成果を見せたくて見せたくて仕方無い様子で、「この花、可愛いでしょー」と言うのでその花を見ていると、横から今度は「こっちもキレイでしょー」「あ、これ写真に撮んなさいよ」「あれは友達の奈美ちゃんにもらった花よ」「これは珍しいのよぉ」「ほら、種が飛んだみたいでこんなところで増えてる」って、見せたいんならもうちょっとゆっくり見せろー!という状態になります。
●と、ここまでが言わば、まだお客さん扱いされている短い「もてなし」の時間。これが一通り過ぎると、あとはもうただの作業員扱いです。「ブロックを買ってきて、ここ、もうちょっとキレイにしたいのよね」「寒冷紗を張り替えたいんだけど」「あそこ、錆止め用にペンキ塗ってくれない?」「除草剤を買ってくるの忘れたわ」ってなことをいっぺんに言ってくれればいいものを、思いついた時にポンポン言い出すものだから、もう何度ホームセンターと家を往復したことか。え~っ?などと言おうものなら「ブランドンくんがいてくれればねぇ」と、暗に「あんたじゃ話にならない」的な流れに持ち込まれてしまうので、やらないわけにはいかないのです。もぉ。あなたの一人息子はとても非力なんだから。のび太はドラえもんがいないと何も出来ないものなのよ。

仕方なく、素直にやるわけです。ペンキ、ひっくり返しました。レンガで手も切りました。それを見て「まったくあんたは」って笑っている姿は、一人っ子の母親としてちょっとおかしいと思う。あら大変、とか言いながら急いで救急箱を取りに走るのがホントの一人っ子の母親像ってもんではないかい?小さい頃からいろんな人に「一人っ子は大事にされていいね」って言われたものだけど、過保護に育ててもらった記憶、全然無いのよね。(って今さらそんなことされてもキモチ悪いだけだか。)
●それはさておき、ドタバタと騒々しい庭でしたが、なんとか静寂を取り戻したGW後半のある日。またしても庭先から「ちょっと来てー!」の声が。またですか(涙)。足取り重く出ていくと、不思議そうな顔で立っている母が。今度は何よ。「誰?これ」
ん?指差すほうを見ると、黄色い、なんだか金管楽器のベルみたいなカタチの花が咲いてます。誰?ってこの人のこと?となんだかヘンな会話をしながら2人でしゃがみこむ。聞けば、こんな花、植えたこと無いんだそうで。あんた誰?

家に戻り、野草辞典をひたすらめくり続けて、あっこれだ!と出てきた花の名は「原種スイセン」。ナルキサス・ベルボコディウム・コンスピキュアスという、スペイン・ポルトガル産のちょっと微妙な響きの花は、種ではなく球根からなるものなんだそうです。植えて3年以上たたないと花が咲かないらしく、ってことはこの人たち、ずいぶん前からここにいたってことなんだろうか。母はもちろん、父に聞いても植えた記憶は無い(以上に今日の今日までそんな花知らなかった)そうで、はて?と親子三人、首をかしげるばかり。
「ブランドンくんは元気かしらねぇ」
えっと...、なんで急にその話でしょう?(汗)
「あら、だってこの人も外国の人じゃない?うちもどんどんインターナショナルって感じよねぇ♪」
ってそれはちょっと違うんじゃなかろうかと。
ただ、そうだね、彼は今頃どうしてるんだろう。花に水をやるのが大好きで、僕よりもこの庭を把握している彼のこと、この花を見たらきっと喜んだに違いない。同じものを一緒に見られないというのは、もどかしいものだな。
なーんてことを考える、最高気温27度という馬鹿みたいに暑い昼下がり。
こっちを見ろと言わんばかりに、トンビが高いところで鳴いている。
だけど近くにあるんだよ。
だいたいを家の中で過ごす在宅ワーカー。都内在住の40歳。ゲイ・パートナーのブランドン(外国人/ヨーロッパ圏)との生活は、気付けば14年目に突入。地味に静かに暮らしています。
Chibi-log
どっちが先に着くか競走だ。

ちょっと気温が下がったら出かけましょう、ってのが甘かったか、よく行く鰻屋の前には長蛇の列。聞こえてくる「あと10個!」「あと9個!」の声にハラハラしたけれど、ギリギリでラスト2個を買えたのは小さなラッキーだよね。
あの人は…そろそろ帰りの電車に乗った頃だろうか?鰻が好きな誰かさんのため、チャリンコ飛ばして帰ろうぞ。待ってろベイベー。
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