子供のいる風景。【1】
●ブランドンが出張で居なかった、春先のとある金曜日のこと。スーパーでレジを待ちながらふと外へ目をやると、ものすごい夕立で真っ暗になっていました。降るとは聞いていたので一応傘は持って来たけど、それにしてもこれほどまで凄い雨になると知っていれば、何もわざわざこんな離れたスーパーまで来なくても良かったのに。しかもなんでこんなに買っちゃったんだろ、今晩一人なのに。傘を差しつつ両手に袋を下げるという窮屈な体勢でノロノロ進む帰り道。やっとマンションの前まで来ると、入り口の前で雨宿りをしているズブ濡れのサラリーマンが立っています。あれっ…何やってんの?
「わっ!何やってんのも何もハリーちゃんこそ何だよ!?」
何だよって、ここ、うち。そう教えながらマンションをアゴで指すと、うわぁ助かったよぉ、と、誘ってもいないのに彼は僕の後についてきたのでした。
出した牛乳を一気飲みして、なんだか突然集中して仕事を始めているので、僕は僕で邪魔にならないようにキッチンでガタガタとやっていると。「今日行ったとこの社長なんだけどさぁ」と。画面を見ながら話し始め、こんなことがあってさ、あんな人がいてさ、でさ、でさ、と続きます。それがだんだん相談ごとになり、やがて愚痴になり、こっちも励ましたり茶化したり。そんなことをしているうちに風呂の準備も出来て、奴はバスルームへ。よくまぁ人ん家に来てあんなバカデカい声で歌唄えるよなぁ、と皮肉っぽく感心しつつ、僕は濡れたワイシャツにアイロンをかけます。●案の定、風呂から上がってきた途端「なんかある?」と。そう言うだろうと思って準備しときましたよ、でもそれ食べて服も乾いたらとっとと帰ってよね、バスタオル一つでウロウロされるのも目障りだし。すると、「うちの奥さんさぁ、今、実家帰ってんだよ」。なによ?喧嘩?「いやぁ、お腹大きくてさ」。あらら良かったねー!だからって夜も食べていこうとか考えないでねー迷惑だから。と釘を刺した上で皿を並べます。肉ばっかり食べんじゃないよ、とか言いながら。昔はとにかく一緒にいろんなとこへ取材に行ったものだけど、いつもステーキ食べてる印象しか無いんだよね。
●食べさせた後も最近の仕事や会社の話を聞きながら、笑ったり驚いたり。そんなことをしているいうちに洗濯したものも乾き、時計を見ればそろそろ19時です。黙ってると泊まっていきそうな勢いなので、さぁ帰れ、今すぐ帰れ、と急かし、やっと玄関口へ押し出して。もう来ないでくれる?という僕の言葉をわざとかき消すように「行ってきま~す」と笑いながら奴は出ていきました。なんなんだ一体。ふぅ。一息ついてテーブルを見ると、あのバカ書類忘れてってる!急いでそれを持って駅へ追いかけていきました。忘れ物ー!
●奴は、デカい子供でした。僕の中にはどうも父性も母性も無いような気がしてならないのだけれど、もしうちに息子でもいたら…こんな感じなのかなぁって、珍しくそんなことを思ったりして。牛乳を飲みながら「なんか実家に帰ってきたみたいだよ(笑)」って言われたこともあって、余計にそんなこと考えちゃったのかな。子供の頃、僕はいつもキッチンで宿題をしていて、母親と話をしながら夕暮れ時を過ごしていました。まぁ、そんな記憶も重ねつつ。きっと…子供が欲しい、ってそんな話ではないんだろうと思うものの、最近どういうわけか子供の話を聞いたり見たり読んだりすることが重なっているので、あと数回、子供にまつわる話を続けます。今回のように、これといって結論の無いメモ書きみたいな感じになると思いますが。
だけど近くにあるんだよ。
だいたいを家の中で過ごす在宅ワーカー。都内在住の40歳。ゲイ・パートナーのブランドン(外国人/ヨーロッパ圏)との生活は、気付けば14年目に突入。地味に静かに暮らしています。
Chibi-log
どっちが先に着くか競走だ。

ちょっと気温が下がったら出かけましょう、ってのが甘かったか、よく行く鰻屋の前には長蛇の列。聞こえてくる「あと10個!」「あと9個!」の声にハラハラしたけれど、ギリギリでラスト2個を買えたのは小さなラッキーだよね。
あの人は…そろそろ帰りの電車に乗った頃だろうか?鰻が好きな誰かさんのため、チャリンコ飛ばして帰ろうぞ。待ってろベイベー。
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ハリーさんこんにちは。初めてコメントさせていただきます。
私はハリーさんより少々(だいぶ?)オジサンなのですが、いつも更新を楽しみにしている一人です。
大好きな記事がたくさんあって、好きな音楽を聴くように、思い出しては何度も何度も読ませていただいています。
感情をストレートに言葉にするのではなく、ハリーさん独特の視線で語られる情景描写がなんとも素敵ですね。そこから勝手にハリーさんの心情を想像してみたりして。行間を読む楽しみといいますか。
以前同じようなことをコメントされていた方がいらっしゃいましたが、それこそが本当にハリーさんの文章力のすごさなんでしょうね。それと、温かいお人柄と。
今回の子供に関するお話からも、いろいろ伝わってくるものがあって思わずコメントいれさせていただきました。
続きがあるとのことですので、そちらも楽しみにしています。
一ファンより。
途中まで「どうなっちゃうんだろう!?」とドキドキしながら読んでしまいましたが、全然違いました(笑)
ハリーさんがとても自然な感じで、だからその後輩(?)の方もチカラを抜いて甘えられるんじゃないでしょうかね。
いいなぁ。俺がハリーさんちの子供になっちゃダメですか?(笑)
● re:孝治さん。
はじめまして。コメントありがとうございます。
なんだかずいぶん持ち上げていただいちゃいまして、恥ずかしいやら申し訳ないやら、です。
ブログを始める前、他の方のブログで「前にどんな記事を書いたか忘れてしまった」みたいな記事を読んで「うっそぉー、自分で書いたこと忘れる?」とか思っていたのですが、いざ自分でやってみると本当に見事に覚えていなくてですね(苦笑)。昔の記事の話をされて「…そんなこと書いたっけ?」と慌ててしまうことがよくあります。
なので、昔の記事にはいまひとつ責任が持てないところがあるんですが(汗)、何度も読んでくださっているというお話は素直に嬉しいです。誤字を見つけたらこっそり教えてくださいね(笑)。
お暇な時にでも、またのぞいて見てください。
● re:えるくん。
>途中まで「どうなっちゃうんだろう!?」とドキドキしながら
あー…そっか、そうもとれる流れだねそう言えば。奴とは絶対にそういうことにはならないし、そんな感覚全く無かったから、そんなふうに読めるなんて考えもしなかった。ね、全然違うでしょ。
>後輩(?)の方もチカラを抜いて甘えられる
迷惑なんだけどね。なんかねぇ、いちいちウザいのよ、ホントに(苦笑)。
>俺がハリーさんちの子供になっちゃダメですか?
うちにはデカい子供はいらんよ。(逃)
流れ的にはついつい色っぽいものを想像してしまったのですが・・・・。
微塵もありませんでしたね。笑
まあ当然か。
子どもかあ・・・・時々考えたりもします。
● re:Kazuccineくん。
やっぱりそっか。
絶対にあり得ない奴とのウザウザしい時間を書いただけのつもりだったんだけど、後で読み直しら、読みようによってはそういう流れにもなりそうな話だったのね、って気付いた(苦笑)。
なんだか釣ったみたいでやだね。ちょっと反省。