ハリーのしっぽ > 子供のいる風景 >

2008年6月18日 16:33

子供のいる風景。【1】

2008:06:18:16:33:25

ブランドンが出張で居なかった、春先のとある金曜日のこと。スーパーでレジを待ちながらふと外へ目をやると、ものすごい夕立で真っ暗になっていました。降るとは聞いていたので一応傘は持って来たけど、それにしてもこれほどまで凄い雨になると知っていれば、何もわざわざこんな離れたスーパーまで来なくても良かったのに。しかもなんでこんなに買っちゃったんだろ、今晩一人なのに。傘を差しつつ両手に袋を下げるという窮屈な体勢でノロノロ進む帰り道。やっとマンションの前まで来ると、入り口の前で雨宿りをしているズブ濡れのサラリーマンが立っています。あれっ…何やってんの?
「わっ!何やってんのも何もハリーちゃんこそ何だよ!?」
何だよって、ここ、うち。そう教えながらマンションをアゴで指すと、うわぁ助かったよぉ、と、誘ってもいないのに彼は僕の後についてきたのでした。

奴は、僕が昔勤めていた会社の営業マン。歳は僕より2つ上だけど彼のことは新卒の頃から知っていて、年次的には僕のほうが先輩になるというネジレた関係でした。誰がどう見ても身長190cmの巨体はラグビー体型、でも実はバリバリのサッカー野郎は、声もデカければ態度もデカくて、それでいて仕事もデキる優秀な奴。僕を信頼してくれて、僕としか仕事をしようとせず、他の制作マンからヒンシュクをかっても彼にはどこ吹く風で、僕はいつも彼のペースで取材に連れまわされたものでした。僕が会社を辞めてからもしばらくは一緒に仕事をしていたのだけれど、彼はだんだん偉くなっていって現場から離れていき、そのうち部署も変わったりで、ここ最近は年賀状のやりとりがあるくらいの付き合い。実際に会うのは、2年ぶりくらいでした。
普通、初めての部屋に入る時って、へぇこんなとこに住んでんだーみたいにキョロキョロ見回したりするものだと思うのだけれど、彼から出てきた言葉は「風呂入れる?」。へへ、と笑いながら濡れたスーツを脱いで、会社へ「あと2社まわってから直帰するんで」と偉そうに電話して居座る気マンマン。じゃあ風呂の準備するのに30分くらいかかるから、それ脱ぎなよ洗濯するから。「サンキュー♪」。腹立たしいほど能天気な返事で、脱ぎ始めると見えてきた足の怪我。もしかしてまだサッカーやってんの?「あ、バレた?(笑)」ってこの野郎、昇進の時、仕事とサッカーどちらかにしろって言われて仕事を選んだはずだったのに。「いやぁ、さすがに平日は出来なくなっちゃったけどさー」、そう言いながら全部洗濯機へ放り投げてバスタオルを腰に巻き、ここで仕事していい?とカバンからパソコンを出してキッチンのテーブルでカチャカチャと始めます。
出した牛乳を一気飲みして、なんだか突然集中して仕事を始めているので、僕は僕で邪魔にならないようにキッチンでガタガタとやっていると。「今日行ったとこの社長なんだけどさぁ」と。画面を見ながら話し始め、こんなことがあってさ、あんな人がいてさ、でさ、でさ、と続きます。それがだんだん相談ごとになり、やがて愚痴になり、こっちも励ましたり茶化したり。そんなことをしているうちに風呂の準備も出来て、奴はバスルームへ。よくまぁ人ん家に来てあんなバカデカい声で歌唄えるよなぁ、と皮肉っぽく感心しつつ、僕は濡れたワイシャツにアイロンをかけます。
案の定、風呂から上がってきた途端「なんかある?」と。そう言うだろうと思って準備しときましたよ、でもそれ食べて服も乾いたらとっとと帰ってよね、バスタオル一つでウロウロされるのも目障りだし。すると、「うちの奥さんさぁ、今、実家帰ってんだよ」。なによ?喧嘩?「いやぁ、お腹大きくてさ」。あらら良かったねー!だからって夜も食べていこうとか考えないでねー迷惑だから。と釘を刺した上で皿を並べます。肉ばっかり食べんじゃないよ、とか言いながら。昔はとにかく一緒にいろんなとこへ取材に行ったものだけど、いつもステーキ食べてる印象しか無いんだよね。

食べさせた後も最近の仕事や会社の話を聞きながら、笑ったり驚いたり。そんなことをしているいうちに洗濯したものも乾き、時計を見ればそろそろ19時です。黙ってると泊まっていきそうな勢いなので、さぁ帰れ、今すぐ帰れ、と急かし、やっと玄関口へ押し出して。もう来ないでくれる?という僕の言葉をわざとかき消すように「行ってきま~す」と笑いながら奴は出ていきました。なんなんだ一体。ふぅ。一息ついてテーブルを見ると、あのバカ書類忘れてってる!急いでそれを持って駅へ追いかけていきました。忘れ物ー!

奴は、デカい子供でした。僕の中にはどうも父性も母性も無いような気がしてならないのだけれど、もしうちに息子でもいたら…こんな感じなのかなぁって、珍しくそんなことを思ったりして。牛乳を飲みながら「なんか実家に帰ってきたみたいだよ(笑)」って言われたこともあって、余計にそんなこと考えちゃったのかな。子供の頃、僕はいつもキッチンで宿題をしていて、母親と話をしながら夕暮れ時を過ごしていました。まぁ、そんな記憶も重ねつつ。

きっと…子供が欲しい、ってそんな話ではないんだろうと思うものの、最近どういうわけか子供の話を聞いたり見たり読んだりすることが重なっているので、あと数回、子供にまつわる話を続けます。今回のように、これといって結論の無いメモ書きみたいな感じになると思いますが。

シアワセは、歩いて来ない。
だけど近くにあるんだよ。
ハリーのしっぽ Author:ハリー
だいたいを家の中で過ごす在宅ワーカー。都内在住の40歳。ゲイ・パートナーのブランドン(外国人/ヨーロッパ圏)との生活は、気付けば14年目に突入。地味に静かに暮らしています。

Chibi-log

2010年7月26日 18:51

どっちが先に着くか競走だ。


ちょっと気温が下がったら出かけましょう、ってのが甘かったか、よく行く鰻屋の前には長蛇の列。聞こえてくる「あと10個!」「あと9個!」の声にハラハラしたけれど、ギリギリでラスト2個を買えたのは小さなラッキーだよね。
あの人は…そろそろ帰りの電車に乗った頃だろうか?鰻が好きな誰かさんのため、チャリンコ飛ばして帰ろうぞ。待ってろベイベー。

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↓あの曲がなんでこんなアレンジに!?と毎週流れるテーマ曲目当てに見てたわけだけど、もしかしてあれ、実は面白かったんじゃないか?と今にして思うドラマ。DVDになってないのね。そうなると、ますますもう一度見たくなる。若かったなぁ、メロリンQ。

幕末高校生(1993)

Twilight In Upper West(T-SQUARE)

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