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2010年4月21日 19:56

春街シンクロニシティ。

2010:04:21:19:56:36

そう言えばあれは、、、22とか3の頃だから、今から17年ほど前の話になるのか。当時の僕はヒッチコックの世界にすっかり魅せられていて、それは本棚のほとんどを関連本で埋め尽くしていたほどだった。ビデオにしても「借りる」という発想は全く無く、コツコツと買い集めては悦に入ってた、今からすれば可愛いコレクターだったように思うのである。

ある日、映画雑誌の中に見つけた、一つの小さな広告。


「貴重な映画ポスター、多数ございます。」

地図は無く、住所しか書いていないその広告を切り取り、買ったはいいがいまいち使いこなせていなかったシステム手帳(当時流行っていた)に貼って、僕はその店を探した。どこをどう行ったのか、今となっては全く覚えていない。記憶にあるのは、確か地下鉄の駅で降りたな、ということと、着いたその店はマンションの1室だった、ということくらいである。


店内には、カウンターに座っている店主と、何か探しているふうの客が一人。そこへ僕も加わり、なんとなく重苦しい空気の中でジリジリと1時間ほど物色していると、店主のおじさんが声をかけてきたのだった。


「何か探してんの?」


えーっと、ヒッチコックの"裏窓"のポスターってあります?いや、リバイバルのじゃなくて。いや、日本版でもなくて。


「本国版の初版!?あんたそりゃ高嶺の花ってもんだよ。時間があるんだったらさ、ちょっとそこ座んなさいよ。」


半分呆れたように笑うと、おじさんは奥へ行ってコーヒーの準備を始めた。


「あ、僕もいいですかね?」


見た感じ僕よりもちょっと上くらいの人だろうか、というふうなもう一人の客もこっちへやってきて、音楽ひとつかかっていない静かな店内には、三人の声と、お湯を沸かす音だけが響くことになったのだった。



手書きのこまかい文字でギッシリと書かれた、何かのカタログのようなものを見せられたのである。その中には"裏窓"の文字もあり、人差し指でその行をなぞり値段を見ると、、、言葉を失うほどの高値だったということだけは覚えている。
わからない、今見たらまた違う感覚なのかもしれないけれど、成人式に毛の生えた程度だった当時の僕には、それはもうビックリの金額だったのは確かである。


「もっと大人になってからでもいいんじゃないのかね。」


そう言われて僕は、隣に座ったお兄さんと一緒に笑った。聞けば彼も同じものを探していたのだとかで、コレクターってのは大変ですよね、みたいな話をしながら、結局2時間ほどおしゃべりしたんじゃなかっただろうか。明るいうちに行ったその店だったが、二人で出た時にはもう陽もとっくに沈んでいて、
ずいぶん喋りましたね、いつになったら手に入りますかね、
と笑いながら駅までの道を歩き、じゃぁ、と改札で別れた、あれは、、、
春にしてはとても暑い、初めて半袖を出した日の話である。

昔のものに興味を持つのは、この歳になっても変わらずで。今は古いレコードに触手が動いているのである。
とある中古レコード専門店にて。そこで見つけてしまったレアものは、オークションに出回っているものよりもはるかに状態のいいものであった。どうしよう、これを逃すと、今度いつお目にかかれるかわからない。が、LPレコード1枚に15万円はさすがにちょっと...。
頭を冷やそうとカニ歩きで左側に数歩ずれ、とりあえず他のコーナーのレコードを手に取ってみるが、手に取っているだけで全く目に入ってはいない。頭の中で続く、理性と財政の葛藤。


買っちゃう?でも引っ越ししますっていうこの時に、その出費は大きすぎる打撃だよね。


再びカニ歩きでそのレコードの前へ戻り、ため息でまた横へズレる。そんなことを何度か繰り返しているうちに、ふと気付いた横の気配である。僕がレコードの前へ行くと右側へズレ、僕が左へズレるとそのレコードの前へ戻る、もう一つの影。むむ、どうやら同じレコードを狙うライバルの出現であった。


いっそのこと、あなたがそれを買ってくれたら諦めもつくのに。


そんなことを考えながら、なおもカニ歩きで移動を続けていると、その白髪まじりのおじさんが苦笑ぎみに声をかけてきたのである。


「ちょっと高いですよね。」


ですよね。まぁこれだけの状態の良さですから、仕方無いと言えば仕方無いんですけど、でも、ねぇ。
一つ言えることは、このレコードを探しているということは、それ相当の「マニア」である。なかなかお目にかかれないマニア同士の出会いということもあって、そこからはお互いに堰を切ったようにレコード談義となった。


「そう言えばですね、」


と言って、彼が鞄から出した1枚のEPレコード。さっき別の店で見つけてきたんですよ、これお持ちですか?と見せられたそれは、僕も最近手に入れたばかりのものであった。あーそれねぇ、僕も先週ヤフオクで落としたばかりなんですよ、結構高値ついちゃって痛いんですけどね。と話すと、意外が反応が返ってきた。


「それって、5000円スタートだったやつじゃないですか?」


おやご存じでしたか、さすがマニア!と笑うと、さらに上を行く反応が。


「あれ僕も参加してたんですけどね、負けちゃったんですよ」


あのオークション、実は最初から最後まで競っていたのは、僕ともう一人であった。と言うことは、、、。
どうやらこの二人で頑張っていたらしいのである。
それは、もっと参加人数があっても良かったはずの品物であった。が、あろうことか出品者のミスで、アーティスト名もアルバム名も誤字含みだったため、検索に引っかからない状態に。それに偶然気付いた二人だけで、人知れずこっそりと進められたオークションだったのである。その相手が、あなただったとは。ははは、これは可笑しい。

それで、だ。この15万円はいかがしたものだろう。話は買う買えないというのを通り越し、買ってください、いやいやあなたがどうぞ、という少々おかしな方向へ進み始めていた。そして、それにしてもこの人は、ジッとこちらを見て話す人だなぁ。と思っていた時に、それは起こったのである。


「あのぉ、違っていたらごめんなさい。えーっと、、、
昔、ヒッチコックのポスターを探していた方じゃないですかね?」






はじめは何の話なのか全くわからなかった。確かに昔、ヒッチコックに狂ったことはあったし、そう言えばポスターを探しに店まで...、、、と、すっかり忘れていた記憶をたどり、そしてハッと思い出す。えっ!あの時の!?


今目の前にいるのは、あの時のお兄さんであった。自分よりちょっと年上くらいだろうと思っていたのだが、この白髪の量を見ると、、、でもやっぱりなんとなくまだ若そうな気もするか。と言うか、正直なところ当時の彼の顔を全く覚えていない。ただどういうわけか向こうはこちらに気づき、この偶然に目を丸くして、そして喜んでいるのだった。

店を出ると、もう外は陽が落ちていた。そしてもちろん、いや、残念ながら、二人の手のどちらにもあのレコードは無い。


「高嶺の花なんですかね。」


いつか聞いたことのある会話をしながら駅まで歩き、じゃあまた、と笑いながら握手をして改札で別れた。メールアドレスの交換くらいすれば良かったかな、と思ったのは、別れて電車に乗ってからだった。


でもまぁ、、、いいか。


またどこかで会えそうな、そんな気がした暖かい春の日の話である。

シアワセは、歩いて来ない。
だけど近くにあるんだよ。
ハリーのしっぽ Author:ハリー
だいたいを家の中で過ごす在宅ワーカー。都内在住の40歳。ゲイ・パートナーのブランドン(外国人/ヨーロッパ圏)との生活は、気付けば14年目に突入。地味に静かに暮らしています。

Chibi-log

2010年8月 8日 23:58

Suicaでチャージ。


夏の水分補給にと、2Lのスイカを買ってきた。いざ切ってみるとこれ、思っていた以上に大きくて。これだけで腹一杯になりそうだな。
ミネラルたっぷり!はいいけれど、今夜、何度トイレに起きることになるんだろう。週の頭から、いきなり寝不足の予感である。

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↓あの曲がなんでこんなアレンジに!?と毎週流れるテーマ曲目当てに見てたわけだけど、もしかしてあれ、実は面白かったんじゃないか?と今にして思うドラマ。DVDになってないのね。そうなると、ますますもう一度見たくなる。若かったなぁ、メロリンQ。

幕末高校生(1993)

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